はじめに
こんにちは。みちやと申します。30代男性の義足ユーザーです。10年程前に足を切断し、右は大腿義足を使用しています。
今回は、私が使用している膝継手の解説をしていきます。
この記事を読むと、膝継手「3R80」の特徴や、使い方のコツがわかります。
膝継手「3R80」とは?

そもそも膝継手とは、大腿義足や股義足の膝部分のパーツのことです。
「3R80」はオットーボック社の膝継手です。油圧式で、イールディング機能という、必要なタイミングで膝が「カクッと」ではなく「じんわり」曲がる機能を持っています。この機能のおかげで、少々の下り坂なら膝折れせずに真っ直ぐ降りられたり、階段を左右の足で交互に降りられたりします。
特徴について、詳細はオットーボックの公式HPをご覧ください。
https://www.ottobock.com/ja-jp/prosthetic_le/joint/knee/3r80
実際の使用感
実際に使用した感覚を書いていきます。
歩く感覚
快適に歩けます。他の膝継ぎ手も使ったことがありますが、正直、平地を歩く分にはあまり違いを感じません。他の継手も快適です笑 何も問題なく歩けます。
イールディングの感覚
少々の下り坂であれば、平地を歩くときと同じ歩き方で歩くことができます。
また、階段を一足一段で降りることができます。階段を降りる時は、調整によっては少しカクッと曲がってしまうことがあります。
「3R80」最初は義肢装具士による調整
膝継手は基本的に、義足作成時に義肢装具士の方に調整していただきます。
しかし、義足が完成して実際に長距離を歩いてみると、ちょっと感覚が違うなと思うことがあります。
再度義肢装具士の方に調整いただくのがベストだと思いますが、私は設定の一部を自分で調整してしまいます。
「3R80」自分で調整する方法
正直、この部分が一番お伝えしたい情報です。
まず、公式の調整方法はこちら。
https://www.ottobock.com/ja-jp/technical/prosthetic_le/adjustment/3r80
ここからは、私が実際に使用しながら作成した調整メモです。
実際に調整する際は、設定を変更する前に、今の設定がどうなっているのか写真を取っておきましょう。(私は写真を撮らなかったせいでもとに戻したいのに戻せなくなったことがあります)

後ろのリング…立脚相の調整(2mm六角レンチ)
下のリング:立脚相の油圧抵抗。義足を地面についた時、カクンと1段階曲がってからじんわり曲がる場合、カクンを消すにはこれを強くすると良い。
上のリング:イールディングの効きやすさ(効き始めの閾値のような感覚)
※リングは立脚相の設定をするものだが、リングの設定を変えると遊脚相の感覚も変わってしまう
立脚相…歩行中に足が床などの支持面に着いている期間
左右のEF…屈曲抵抗及び伸展抵抗(マイナスドライバーで調整)→義足の足部が浮いている時の動きの調整。


伸展E extension +にするとのびにくくなる
屈曲F Flexural +にすると曲がりにくくなるand早歩きになる(!!)
慣性で動いているため、屈曲Fが弱いと継手が後ろに曲がりすぎて、前に出るのが遅くなる
足の重さ、、このFが強いと足部が重いと感じるようになる気がする
EFは立脚相に関係ないはずだが少なくともイールティングの効き始めの閾値にけっこう影響している感覚がある。
※参考までに公式の取扱説明書のURLを貼っておきます。
他の膝継手(マウクニー)との比較(体験ベース)
私が最初に使用した膝継手は、Össur(オズール)というメーカーの「Mauch Knee(マウクニー)」でした。
こちらも「3R80」と同じような機能なのですが、使用してみて感じたポイントを挙げていきます。
・平地での歩行→同じ
・下り坂の歩行→3R80の方が気にせず歩ける
・下り階段→マウクニーの方が安定して降りられる。(3R80は、調整によってはたまにカクッと曲がる時がある)
・故障しやすさ→3R80の方が故障しにくい。(ただし、長断端で、義足を使い始めたばかりだった私のマウクニーの使い方が良くなかったのかもしれません。ちなみにマウクニーも3R80もどっちも故障はします。私の場合マウクニーの方が頻度が高かったです。)
これらはあくまで私個人の体験ベースであり、また、私は断端が長い大腿義足ユーザーであるため、他の方が使うとまた違った体感になる可能性も大きいと思います。
まとめ:3R80は安心。膝継手選びは専門家の意見を参考に。
3R80を使っていて、特に不満を感じたことはありません。30代男性である私のように、活動量の多いユーザーには良い選択肢の一つだと思います。
自分に合った膝継手は、断端の状態や活動量等によって変わってきます。専門家の方の意見をもとに選ばれるのが良いと思います。ではでは!

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